■要約
投資家は、今後の企業活動と将来の利益還元を期待して、大切な資金を提供します。
投資家への利益還元は配当政策が決めるのではない。
コーポレートファイナンスで一番大切なことは、投資決定を誤らないということである。
企業は、適正な資本コストを用いた投資決定を行うことで、投資家の期待に答えることができる。
■心に残った部分
・利益が期待できる場合であっても、NPV(現在価値)がマイナスになることもある。
その場合、投資は行わないと考える。
・業種によってビジネスリスクは異なるので、異なる業種を判定する時には、業種に見合った
資本コストを利用するべきである。
・EVAは、1期間のキャッシュフローから資本コストの額を控除した値である。
・NPVは、ビジネスが生み出す価値。原材料費、人件費、負債の元利、株主が期待するリターン、
すべてが考慮されている。NPVがプラスであるとは株主を含めたすべての利害関係者に支払うべきものを支払った後にお釣が
くるということになる。
・実物投資に関するオプションをリアルオプションと呼ぶ
・プロジェクトに投資するかを判断するマネージャには本来、計画を実行した後に様々なオプションがある。
計画が軌道に乗ってきたら投資規模を拡大するというオプションがあるし、計画がうまく進まない時には投資規模を縮小したり
撤退したりするオプションもある。リアル・オプション分析はこうした計画の柔軟性まで考慮した投資尺度。
・資本コストはビジネスリスクによって決まる。ビジネスリスクはキャッシュフロー変動によるリスク
・コーポレートファイナンスでは、負債利用の程度や負債比率のことをレバレッジと呼ぶ
・負債を多く抱えている企業は、リスクは高いが、ビジネスが好転した場合にはレバレッジがかかっている分だけ多く儲ける企業である
・負債の利用がもたらすリスクをファイナンシャルリスクと呼ぶ
・住宅ローンが減税の対象になるように、企業の負債も減税の対象になる。正確に言うと負債の利息が法人税の課税対象から控除される。
・負債が減税効果があるとはいえ、企業はかどの負債利用を避ける。その理由はデフォルトコスト。ビジネス環境が悪化し、
キャッシュフローが落ち込むと、多額の負債を持つ企業は、元本や利息の支払いが滞るリスクに直面する。
・デフォルトコストと減税効果を最適化させる負債比率を最適資本構成と呼ぶ。
・企業の資金調達方法は、大きく外部調達と内部調達に分けられる。外部資金調達は、負債調達(Debt Finance)と、
株式発行を伴うエクイティ・ファイナンス(Equity Finance)に分類可能。内部調達は、残余利益を株主に配当せずに
来期以降の企業活動に生かす。
・現金配当とは、企業活動の成果を現金で株主に支払うこと。
・プロジェクトを素早く実施するためには、時間がかかる外部調達よりもすぐに資金を使える内部調達を用いて即座に実施したほうが
機会損失を防ぐことが可能となる。
・外部資金調達のコスト、債権や株式を発行すると証券会社へ払うコストとそれにともなう時間がかかってしまう。
・税金を考慮すると、株主が受け取るのは、税引き後の配当であり、税引き後の株式売却額です。配当課税とキャピタルゲイン
(株式売却益)課税が異なれば、配当政策によって税引き後の受け取り額もことなる。
■感想
コーポレートファイナンスの基礎を理解するための入門書として非常にわかりやすい本だと思う。
個人的には、資本コストという概念をほとんど持っていなかったので勉強になった。
資金を得るためには、それ相応のコストがかかり、そのコストを考えに入れた上で収益を算出しないと
経営が上手くいかないということを学べた。
また、コーポレートファイナンスを深く理解するためには数学的な力を養わなければいけないと痛感した。
■自分の生活を振り返って
今の業務では資金を扱うことはないが、自分が担当するプロジェクトがどれだけの利益をあげているのか、
それに対して投資する価値があるのかということを考えることは今後のキャリアにつながると思う。
投資家が企業に投資するのと同様に、企業内部でも数あるプロジェクトの中からgo or not goを
決定する際には、ファイナンスの知識が生きると思う。

